【あいちジョブコーチ派遣事例】視覚障害者の職域開発
公開日:2022-03-10
■企業からの派遣要請事項
当大学のAキャンパスで勤務する視覚障害の男性。清掃や軽作業を担当。長期的に働いてもらいたいと考え、新たな職域の開拓を検討している。現時点の「出来る事・出来ない事」といった障害のアセスメントをしてもらい、今後の職域開発の参考情報としたい。
更に、視覚障害より十分な安全確認作業できないので、大事には至っていないものの、交通事故にあったり、作業中に細かな怪我をしたりすることがある。幼少の頃から日常生活で怪我をすることに慣れてしまっており、痛みや熱を感じにくいという特性が有るため本人は気にしていないようだが、安全衛生を確保するという企業視点で考えると、作業中に目が離せないという課題がある。さらに、視野が狭く足元が見えないことに対しては、「通路にモノを置かない」、「急に立ち止まらない」などの配慮はするものの、同僚の中には(知的の方もいるので)全員が全員、配慮や危険を察知できる訳ではない環境下にあり、本人にも危機管理意識を持ってもらい安全に働いて欲しい。
・依頼事項
障害のアセスメント(できる・できない作業の範囲の確認)と自己理解
安全衛生的な面から危機管理の意識付け
歩行訓練
職域開発のアドバイス
今後の定着支援 など
■あいちジョブコーチHさん(就労移行支援事業所L所属)
視覚障害者の支援経験が豊富な同事業所。視覚障害者の幸せを願い職業開拓及び訓練、生活の場の提供、そして情報、文化の発信基地としての役割を担ってきた老舗福祉施設です。
今回、Aキャンパスで別の方の支援で同事業所が就労支援に入られていた事ともあり、Hさんに支援をお願いしました。
Hさん
2007年:入社、15年目
2008年:就労支援者養成研修受講(年間15件程度支援)
■支援対象者
20代後半の男性。作業と事務補助を担当。入社8年が経過した中堅社員。視力低下が進行し、また怪我に慣れていることもあって最近は安全面の不安や可能な業務が減ってきている状況。今後の職域拡大に向けて本人にも今年度の取り組み目標に設定している。
■支援内容
業務遂行力や目標意識について3日間アセスメント実施。
0日目:準備(研修へ行くという設定で、自分で段取りから)
事前の準備、やり取り(時間調整や道順の確認など)
1日目:8月25日(水)14:00~16:00
目標シートの作成
プログラム体験(封入作業①)
日報作成
2日目:9月1日(水)14:00~16:00
1回目の振り返り
プログラム体験(封入作業②)
自身の職場、自分の障害、合理的配慮について
パソコン入力
日報作成
3日目:9月8日(水)14:00~16:00
キャリアプランについて、キャリアプラン作成
日報作成(時間となったため宿題とした→翌日提出)
■支援結果
どこまで作業ができるかというアセスメントだけでなく、職域拡大を望まれている意味、組織の中で働く意義をどうとらえているかをアセスメントしました。
ご自身の目標である業務の幅を広げることに対して、作業プログラムからは普段担当していない部分でもできそうな工程、力が見られましたが、新たな業務拡大をする目標に対して、具体的に追及すると、今やっている業務の量を増やしたいと消極的になることが分かり、目標達成に向けて指導員とともに進めていくよう伝えました。
企業側には作業の出来、不出来の報告にとどまらず、職歴が長いにも関わらず企業理念や文化が本人に浸透していないこと、キャリアビジョンが自身では具体的に描けていないことなどを指摘し、担当者からも当人たちに説明する機会が少ないという実態があるとの反応が得られました。年度目標達成に向けてどのように進めていくかを本人だけに任せるのではなく、組織として一緒に具体的に進めていく事を依頼しました。
■あいちジョブコーチ派遣のお問合せ先
あいち障害者雇用総合サポートデスク TEL:052-583-1010
(実習の申し込みは、希望者の居住地管轄のハロワークへ)