オーエスジーアクティブ株式会社
公開日:2026-05-08
すでに多数の障害者雇用実績を持つ特例子会社・オーエスジーアクティブ株式会社。本事例では、就労継続支援B型事業所からの施設外就労で関係性のあった人材を、どのように直接雇用へとつなげたのかをご紹介します。成功の鍵となったのは、単なる作業確認にとどまらない「実習の設計力」。 特に、土日をあえて挟むスケジュールや、休憩時間の過ごし方まで含めた観察といった視点が、採用を“賭け”にしない確かな判断につながっていました。
事例のポイント:
•土日を挟む実習設計:週明けの安定性を確認し、長期就労の可能性を見極める
•休憩時間の観察:職場文化や人間関係への適応力を評価
•予備作業の用意:適性を多角的に確認し、可能性を引き出す
•施設外就労の活用:採用前の実質的な評価機会として機能させる
企業概要 企業名:オーエスジーアクティブ株式会社
所在地:新城市有海字丸山1-2
社員数:22名
業種:製造業(特例子会社)
事業内容:精密切削工具製品の製造、間接及び補助作業、検査・清掃・運搬・環境関連作業など
企業HP:https://www.osg.co.jp/index.html
障害者雇用:18名/種別:精神・知的・身体障害
支援体制:運営スタッフによる声掛け・半年に一度の面談、保健師によるフォロー、支援機関相談員との連携
「知っている人材」だからこそ行った、慎重な最終評価
今回採用に至ったAさんは、B型事業所に所属しながら、親会社であるオーエスジー株式会社の別工場にて施設外就労として働いていたメンバーの一人でした。日々の業務を通じて、欠勤なく真面目に働く姿勢はすでに確認されており、企業としての信頼は十分に構築されていました。実際に、施設長からの推薦も「この人物であれば問題ない」という期待を感じるものでした。
業務内容の変化に対応できるか
社内の一員として継続的に働けるか
環境変化に対する安定性はあるか
こうした点を見極めるため、“確認のための実習”ではなく、“意思決定のための実習”として、5日間のプログラムを設計しました。なお、企業側も振り返るように、施設外就労そのものが実質的な実習期間として機能していたことが、今回の採用判断をより確実なものにしています。
土日を挟む実習が教えてくれる「長く働ける力」
実習設計の中で、オーエスジーアクティブ株式会社が最も重視したのは「週明けの状態」でした。
実習は水曜日からスタートし、土日を挟んで翌週火曜日まで実施。これは単なる日程調整ではなく、明確な意図を持った設計であり、「休み明けに、気持ちを切り替えて出社できるか」という点は、短期的なパフォーマンス以上に、長期就労を見極める上で重要な指標です。
Aさん自身は実習前、「指示を正しく理解できるか」「失敗せず続けられるか」といった不安を抱えていました。さらに、慣れている清掃業務に加え、未経験である精密な検査作業(穴検)にも挑戦することとなり、心理的なハードルは決して低くありませんでした。しかし、この“あえての負荷”が、結果として適性と可能性の両方を確認する機会となりました。
実習期間 2023/10/4~10 (水木金月火)
実習時と就労後の業務内容と一日のスケジュール
床面清掃車による床面清掃、穴検、その他軽作業(実習時・就労後共に同じ)
9:00~10:30 床面清掃
10:30~12:00 穴検
12:00~12:50 昼休憩
12:50~15:50 Eペーパー回収・緩衝材作業・ケース分別作業(実習時・就労後共に同じ)
※3ヶ月後にフルタイムになり、現在もフルタイム勤務継続中
決め手は「休憩時間」。職場に溶け込めるかのリアルな指標
実習が始まると、企業側の想定を上回る適応力し、床面清掃車の仕様違いにも問題なく対応。未経験の穴検作業も正確に実施したAさんでしたが、会社が特に重視したのが業務外の時間でした。昼食後の休憩時間、Aさんは事務所で自然な形で過ごし、他の社員との距離感も適切に保っていました。 孤立する様子もなく、過度に依存することもない。この様子を通じて企業が確認したのは、スキル以上に重要な要素です。「同じ空間で、無理なく働き続けられるか」仕事の合否は作業精度だけでは決まりません。職場に馴染めるかどうか、この“空気感への適応”こそが、長期定着を左右する最大の指標となります。
支援機関の並走もあり、土日後の月曜日も問題なく出社。この結果をもって、オーエスジーアクティブ株式会社は自社社員として迎え入れる判断をしました。
採用を「賭け」にしないための実習の知恵
実習を成功させるための秘訣をこう語ります。 「実習は、雇用する会社と障害者、双方のためにあります。もし予定していた作業が合わなかったときのために『予備の作業』を用意しておく。そして、仕事の内容だけでなく、食事や休憩時間の過ごし方という『人間関係の部分』をしっかり観察することが大切です」採用してから「こんなはずじゃなかった」と後悔するのではなく、実習を通じて「週明けの出勤」や「休憩時間の空気感」までをシミュレーションする。この丁寧なプロセスこそが、障害者雇用を揺るぎない「戦力」へと変えるための最短ルートとなります。