株式会社アルバクルー
公開日:2026-04-01
初めての障害者雇用のプロジェクト。どのようなお仕事をお願いすればよいかも、どのような方法で募集すればよいかも、運用も管理もなにもかもが不透明なゼロからのスタートから。障害に対する社内理解、障害特性と業務のすり合わせ、企業側の受入れ準備、信頼関係をどう構築していくかなど、多くの課題がある中でのスタートでした。
事例のポイント:
•「物は試し」の精神: 不安な中でも「まずは実習で試す」ことが、ミスマッチを回避する最大の防御策となった。
•支援機関による管理の伝承: 支援機関が管理・支援を並走することで、企業側が「障害者雇用の進め方」を実務を通じて習得できた。
•「運用イメージ」の可視化: 実習によって、掃除や草刈りといった業務が、具体的に誰が、いつ、どうやって管理すべきかという「組織の動き」へと昇華された。
企業概要
企業名:株式会社アルバクルー
所在地:名古屋市中村区本陣通5-130 アルバビル1F
社員数:335名
業種:人材サービス業
事業内容:ドライバー派遣、職業紹介
企業HP:https://albacrew.com/
障害者雇用:2名(2.5P)/種別:身体・精神
支援体制:毎日その日の業務の担当者(基本的には固定の3名)が管理・支援
ヒアリングや面談は大体1~2週に1回を目安に実施
「何から始めればいいか分からない」という壁
人材サービス業を営む株式会社アルバクルーにとって、障害者雇用のプロジェクトは全くの未知数、まさにゼロからのスタート。
内勤職の人手は十分に足りており、基本的にデータで管理を行っている為、社内から業務を切り出すのは困難でした。そこで、グループ会社が運営している介護施設の清掃業務をメインに、弊社の営業車の洗車業務、他にもグループでレンタカー事業も行っている為、返却車両の洗車などをお願いする事にしました。
2つ目の課題は、障害特性への理解です。何分初めての取り組みでしたので、どの様な特性があるのか、どの様な配慮が必要であるのか、また弊社社員の障害への理解もどの程度できるものか心配はありました。
「どのような業務を切り出すべきか」「募集や管理はどうすればいいのか」。運用も管理も、すべてが不透明な中で最も懸念されたのが「ミスマッチのリスク」でした。自社の社員が障害への理解をどこまで深められるか、そして現場が円滑に回るのか。そんな不安を抱える中で弊社が選択したのが、入社前に実際の業務を体験してもらう「職場実習」でした。
支援機関という「通訳者」による確かな伴走
この手探りの挑戦を強力に支えたのが、支援機関によるプロフェッショナルなバックアップです。支援機関は、企業側が「準備も心構えもできていない」と足踏みする中で、「まずは物は試しに」と実習の場をセッティングし、実働に向けた調整を主導しました。実習期間中、支援機関は企業と本人の間に立ち、指示の出し方やフォローの入り方を具体的にアドバイスしました。同じ障害名であっても、進め方のスピードや配慮が必要なポイントは一人ひとり異なります。支援機関という「通訳者」が介在することで、管理サイドは「この人には、こう伝えれば確実に伝わる」という運用のコツを、実習を通じて実体験として学習することができました。
実習時と就労後の業務内容
グループ会社が運営する介護施設の清掃業務(基本業務:掃除機、モップ、からぶき、拭き掃除等)
臨時業務:草刈り、洗車、エントランスタイルの高圧洗浄 等
実習時と就労後の1日のスケジュール
実習時:9:50頃出社 10:00勤務開始 12:00終業
現場にもよりますが、求職者居所近くの施設の場合は直行直帰、遠方施設の場合は本社集合で施設に向かいます。
掃除箇所はその時の施設の状況に併せて(食事中なら廊下やお風呂の掃除から等)
掃除のスタート場所は変わりますが、床や窓、手すりなどの掃除を行います。
「働けるだろうか」という不安を、実習生が「働くイメージ」へ
一方、実習生として参加したAさん(うつ病、外出困難・不眠など)も、大きな不安を抱えていました。長年のブランクがあった彼にとって、「人とうまく接することができるか」「最後まで体力が続くか」という懸念は、就職を阻む大きなハードルとなっていました。しかし、1週間の実習というステップが、その不安を「働くイメージ」へと変えていきました。グループ会社が運営する介護施設の清掃、掃除機、モップ、拭き掃除といった基本業務から、草刈りや洗車といった臨時業務まで。支援機関の見守りの中で、一つひとつのタスクを完遂していく実体験は、「少しでも会社のお役にたてるよう頑張り、65歳まで健康で働きたい」という目標を育みました。
実習がもたらした「収穫」と、これからの組織
実習を経て正式に入社したAさん、現在、非常に誠実な勤務態度で現場を支えています。企業側が得た成果は、単なる一人の採用に留まりません。「指示の出し方一つで、ここまでスムーズに業務が進むのか」という学びは、管理を担当した社員にとっても大きな財産となりました。
「悩まれているのであれば、ぜひ試されてみることをお勧めします」。
株式会社アルバクルーの担当者は、そう断言します。実習は、求職者には「働くイメージ」を、管理サイドには「運用のイメージ」を、そして社内メンバーには「採用後の心構え」を、それぞれ強く植え付ける機会となりました。
ミスマッチを恐れて立ち止まるのではなく、支援機関というプロの知見を借り、実習という名の「相互理解」の場を持つこと。それが、企業にとっても働く人にとっても、最も幸福なスタートを切るための近道です。